講師紹介
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講師略歴
1939年中国東北部(旧満州)生まれ、三重県育ち。1965年東京医科歯科大学医学部を卒業後、東京大学大学院で寄生虫学を専攻。
テキサス大学で研究後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学大学院教授、人間総合科学大学教授を経て、現職(東京医科歯科大学名誉教授)。
日米医学協力会議のメンバーとして、マラリア、フィラリアなどの免疫研究の傍ら、「寄生虫体内のアレルゲンの発見」「ATLウイルスの伝染経路の解明」など多くの業績をあげる。
講演内容
「腸内細菌とともに生きる~腸内細菌を大切にすると心身体も元気になる~」日本ではがんが原因で死亡する人が年々増加しています。がんばかりでなく、最近20年間で2倍以上患者数が増えたものに、アトピーやぜん息などのアレルギー疾患とうつ病などのこころの病気があります。がんやアレルギー、こころの病気が、なぜ最近になってこんなに増えてきたのでしょうか。それは、日本人の免疫力が低下してきたことと無関係ではないと思います。
私たちがよかれと思って作ってきた便利で快適で清潔な社会は、私たちの免疫力を低下させるように誘導してきました。私はそれを「きれい社会の落とし穴」と言っています。私たちの体の細胞や免疫システムは、一万年前と全く変わっていません。一万年前、正常に働いていた免疫システムはストレスが多く、清潔志向の現代文明のなかで低下してきたのです。従って免疫力を高める為には、一万年前に行っていたことと同じ行動をこの現代社会の中に取り入れることです。
その鍵は腸内細菌がにぎっていることがわかりました。腸内細菌は免疫力の約70%を作り、ドーパミンやセロトニンなどの幸せ物質の前駆体を脳に送っています。腸内細菌叢のバランスよい環境が免疫細胞のT細胞を刺激し、キラー細胞を出現させたりTh1を増殖させ、がんの発生を抑えていることがわかったのです。腸内細菌叢のバランスを保つためにはまず食事です。野菜、穀類、豆類、果物などの植物性の食品を中心とした「手作り」の食事が大切です。そして、楽しくて笑いのある生活も必要です。
この講演では、健康・長生きの秘訣は腸内環境を健康に保つこと、どんな習慣が腸をダメにするのか、腸を鍛える食べ物などについて話してみたいと思います。
主要著書
『笑うカイチュウ―寄生虫博士奮闘記』講談社、1994年(1999年・講談社文庫)『新訂 臨床検査講座 医動物学』医歯薬出版、1997年~2015年
『原始人健康学―家畜化した日本人への提言』新潮社(新潮選書)、1997年
『清潔はビョーキだ』朝日新聞社、1999年(2001年・朝日文庫)
『きれい社会の落とし穴』NHK出版、2001年
『謎の感染症が人類を襲う』PHP研究所(PHP新書)、2001年
『水の健康学』新潮社(新潮選書)、2004年
『知られざる水の「超」能力 新しい「科学的」水の飲み方入門』講談社(講談社+α新書)、2006年
『寄生虫のひみつ』SBクリエイティブ(サイエンス・アイ新書)、2009年
『水と体の健康学』SBクリエイティブ(サイエンス・アイ新書)、2010年
『アレルギーの9割は腸で治る! クスリに頼らない免疫力のつくり方』大和書房(だいわ文庫)、2011年
『こころの免疫学』新潮社(新潮選書)、2011年
『免疫力をアップする科学』SBクリエイティブ(サイエンス・アイ新書)、2011年
『子どもをアレルギーから守る本』大和書房(だいわ文庫)、2012年
『50歳からは炭水化物をやめなさい 病まない・ボケない・老いない腸健康法』大和書房、2012年
『脳はバカ、腸はかしこい』三五館、2012年
『遺伝子も腸の言いなり 持って生まれた定めなどアリマセン!』三五館、2013年
『50歳から始める炭水化物ぬきレシピ』ワニブックス、2013年
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』ワニブックス(ワニブックスPLUS新書)、2013年
『人の命は腸が9割 大切な腸を病気から守る30の方法』ワニブックス(ワニブックスPLUS新書)、2013年
『50歳からは肉を食べ始めなさい 元気で老いない長寿のための食事法』フォレスト出版、2014年
『体をつくる水、壊す水』ワニブックス(ワニブックスPLUS新書)、2014年
『「大人のアレルギー」は腸で治す』大和書房、2014年
『病気を防ぐ「腸」の時間割 老化は夜つくられる』SBクリエイティブ(SB新書)、2015年
『ボケる、ボケないは「腸」と「水」で決まる』朝日新聞出版(朝日新書)、2015年
『50歳からは炭水化物をやめなさい』大和書房(だいわ文庫)、2016年
『9割の病気は腸で治せる!』KADOKAWA(中経の文庫)、2017年
『ヤセたければ、腸内「デブ菌」を減らしなさい!』ワニブックス(ワニブックスPLUS新書)、2017年
『若返りの科学 医学が実証した本当のアンチエイジング』SBクリエイティブ、2017年
『隠れ病は「腸もれ」を疑え!』ワニブックス(ワニブックスPLUS新書)、2017年
『手を洗いすぎてはいけない 超清潔志向が人類を滅ぼす』光文社(光文社新書)、2017年
『人生100年時代の老いない食事』フォレスト出版(フォレスト2545新書)、2018年
『病気にならない乳酸菌生活』PHP研究所(PHP文庫)、2018年
『図解 体がよみがえる「長寿食」』三笠書房、2018年
『人生100年時代! 腸から始める加齢の極意』ワニブックス(ワニブックスPLUS新書)、2018年
『新装版 腸内革命』海竜社、2018年
『子どもの免疫力を高める方法』ロングセラーズ(ロング新書)、2018年
『体と心の疲れが消えていく「滋養食」』三笠書房、2018年
(翻訳)
『きみのからだのきたないもの学』(訳)、シルビア・ブランゼイ(文)、ジャック・キーリー(絵)、講談社、1998年
『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』(監訳)、ジョシュ・アックス(著)、文響社、2018年
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