講師紹介
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講師略歴
1975年奈良県生まれ。1998年慶應義塾大学環境情報学部卒業後、Columbia University, School of International
and Public Affairsで修士課程を修了(2005年、MPA)、Columbia University, Graduate School
of Arts and Scienceで博士課程を修了(2010年、Ph.D.)。
日本銀行では、調査統計局や金融市場局において、実体経済や国際金融の調査・分析に
携わった経験をもつほか、世界銀行では、欧州・中央アジア局において、労働市場や教育
についての経済分析を担当した。
東北大学での勤務を経て、2013年4月から現職。
講演内容
「なぜ教育に科学的根拠が必要か」なぜ教育にデータに基づく科学的根拠が必要か―これが本講演を通して、私が皆さんと議論
したいことです。
子育て中の友人がよくこんなことを言っているのを聞きます。
「ゲーム機ってもたせないほうがいいんだろうか。専門家によって言ってることが違うし。持た
せて勉強しなくなっちゃっても困るし、持たせなくて学校で友達と話ができなくていじめられて
も困る」
わたしには子供がいませんが、私には子育て中のお父さん・お母さんたちに決してわからな
いことがわかる時があります。例えば私は上記の問題について、このように答えます。
「ゲームを取り上げても、お子さんは勉強するようにならないから、持たせてもいいでしょう。
1日1時間程度のゲームであれば、発達や社会性や健康にはほとんど影響がないけれど、
1時間を超えて、ゲームをすると時間とともに悪い影響が強くなるから気を付けて。」
なぜ、子どものいない私にこんなことがわかるのか。
それは私が、代表性のある大規模データを用いて、子どもの行動や親の関わり方などを分析
することができるからです。
私の専門は教育経済学といいます。経済学って、株とか財政赤字とか、国際貿易とかを研究
している人たちなのではないの?と思われるかもしれません。でも最近の経済学が対象とす
るのは経済的な事象だけではありません。教育は経済学者たちの興味を惹きつけてやまない
研究テーマの一つです。
私が今研究者として一番関心があるのは、どういう教育投資の投資対効果が高いのか、とい
うことです。このことは子育て中のご家庭だけでなく、政策にとって非常に重要な視座を含み
ます。
教育経済学の世界へようこそ!
■ この講演にご関心をお持ちの方へ ― 日本の教育問題を斬る ―
・10/2(木) 藤原 和博氏 「正解のない問いに向き合う力」
主要著書
・ Takenaka, A., Ishida, K., & Nakamuro, M. Negative Assimilation: How ImmigrantsExperience the Mobility in Japan. International Migration Review, In Press.
・ Nakamuro, M., Inui, T., Senoh, W., & Hiromatsu, T. Are Television and Video Games
Really Harmful for Kids? Contemporary Economic Policy, In Press.
・ Nakamuro, M., Uzuki, Y., & Inui, T. (2013). The Effects of Birth Weight: Does Fetal
Origin Really Matter for Long-run Outcomes? Economics Letters, 121(1), 53-58.
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