講師紹介
このページを印刷
講師略歴
1959年 東京生まれ1982年 京都大学農学部食品工学科卒業
1987年 京都大学大学院農学研究科博士課程修了
1988年 米国ロックフェラー大学博士研究員
1989年 ハーバード大学医学部博士研究員
1994年 京都大学助教授
2004年 青山学院大学理工学部 化学・生命科学科教授
専門は分子生物学
遺伝子ノックアウトマウスを活用した膜タンパク質(細胞膜の運動をコントロールする物質)の研究に力を注ぐ
また、1998年までに脳細胞に損傷を与えるとされるキノリン酸(必須アミノ酸トリプトファンの代謝産物)の作用を解析
さらに狂牛病(BSE)やヤコブ病に代表されるプリオン病の発症原因の分析にも精力的に取り組んでいる
研究活動のかたわら一般向けの著作・翻訳も手がける
狂牛病禍が問いかけた諸問題について論じた『もう牛を食べても安心か』(文藝春秋文春新書)で科学ジャーナリスト賞、
ノーベル賞受賞の定説に一石を投じた『プリオン説はほんとうか?』(講談社ブルーバックス)で講談社出版文化賞を受賞
”生命とは何か”という永遠の問題を動的平衡論から問い直した最新作『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)は、
50万部を超えるベストセラーとなり、2007年度サントリー学芸賞および中央公論社新書大賞を受賞した
翻訳にノーベル平和賞受賞者ワンガリ・マータイ氏の自伝『モッタイナイで地球は緑になる』、築地市場の全貌を明らかに
した『築地』(ともに木楽舎)など
講演内容
「生命観を問い直す~機械論から動的平衡へ~」現在、私たちの周りには生命操作を巡る様々な議論がある。遺伝子組み換え、クローン技術、ES細胞、臓器移植・・。
これらを可能とする先端技術の通奏低音には、ひとつの明確な生命観がある。生命とはミクロな部品が集まってできた
プラモデルであるという見方、すなわち機械論的生命観である。
ルドルフ・シェーンハイマーは、生命が「動的な平衡状態」にあることを最初に示した科学者だった。私たちが食べた分子
は、身体を構成する分子と絶え間なく交換されつづけている。つまり生命とはプラモデルのような静的なパーツからなり
たっている分子機械ではなく、パーツ自体のダイナミックな流れの中に成り立っている効果そのものなのである。
この「動的平衡」論をもとに、生物を無生物から区別するものは何かを、私たちの生命観の変遷とともに改めて考察して
みたい。
主要著書
『もう牛を食べても安心か』文藝春秋(文春新書)、2004年『プリオン説はほんとうか?』講談社(ブルーバックス)、2005年
『ロハスの思考』木楽舎(ソトコト新書)、2006年
『生物と無生物のあいだ』講談社(講談社現代新書)、2007年
このページを印刷