ログイン

夕学講演会

受講券購入・講演予約

会員の方

プライバシーポリシーに同意の上ご利用ください。

初めてご利用になる方

講師紹介

このページを印刷

石川 善樹

講演日 2019/05/14 (火)

石川 善樹
イシカワ ヨシキ

予防医学研究者

講師略歴

1981年、広島県生まれ。
東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。
「人がよりよく生きる(Well-being)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。
専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。

Twitter ID:ishikun3
オフィシャルサイト http://yoshikiishikawa.com/

講演内容

「考えるとは何か?」

答えを求める「では派」、問いを求める「とは派」

では派 「〇〇では・・・」と誇りたがる人たち
とは派 「△△とは何か?」と自問したがる人たち

お恥ずかしい話だが、私は30歳をすぎても「では派」だった。答えを外に求め、「世界では・・・」とか「最新の研究では・・・」とイイ気になっていた。その対極にいるのが「とは派」だ。自らに「△△とは何か?」と問うことで新たな知識を創り出す。

「では派」の人はよく勉強する。なぜならそれが自分のプライドの源泉になるからだ。しかし、どれほど巧妙に「〇〇では・・・」と披瀝できたとしても、自分だけは知っている。単に右のものを左に移しただけだと。

その一方で、「とは派」の人は情報に頼らない。むしろ情報が入ることで、自分の思考が邪魔されることを恐れている。とことん納得するまで考えたら、ようやく外の世界に目を向け、彼我の差に目を細めるのだ。

私はずっと「とは派」に憧れていた。たとえば尊敬する天才編集者の加藤貞顕(株式会社ピース・オブ・ケイクス代表)さん。念願の初対面で、編集のコツについて伺ったら次のように切り出してくれた。

「面白いとは何か、ずっと考えているんですよー!」

とてもまぶしく思えた。加藤さんは決して情報にたよらず、自分の直観を頼りに一歩ずつ進んでいく。にもかかわらず私は「最新の研究では、面白いということについて・・・」としょうもない話を繰り広げてしまった。それに対する加藤さんの反応は「へー」。想定の範囲内だったようで、せっかくの出会いを実りあるものにできなかった。さらに言えば、自分の底の浅さがバレてしまい、心底恥ずかしかった。しかし、のど元過ぎれば熱さを忘れ、すぐに「〇〇では・・・」といつもの自分が始まってしまう。

「では派」でいるのは楽なのだ。何が楽って、考えなくていい。そんな自分にとって「とは派」の道は苦しみに満ちている。まず、問い続けなければならない。加藤さんは「面白いとは何か?」を問い続けている。飽きっぽい自分は、一体何なら問い続けられるのか?

答えを求める「では派」と、問いを求める「とは派」。もちろん、どちらがより優れているとかそういう話ではない。大事なのは自分がどういう生き方をしたいのかということだ。

そんなある日、理論物理学の分野で若くして名を成した、大親友の北川拓也を訪ねてボストンに飛んだ。その秘訣を聞いたら次のように教えてくれた。

「論文を読まないことです。下手に読んでしまうとアレもコレもやられていると、暗澹なる気持ちになります。そうではなく、まずは自分の中で問いを膨らませます。そして解きたくて辛抱たまらんという状態になったら、そこで初めて論文を見るんです。」

この話を聞いて、私は覚悟を決めた。「とは派」になる。そのためにはまず、自分の中にある問いの種を育てなければならない。本講演はこんな私の問いをめぐる旅についてお恥ずかしながらご紹介するものである。

クロシングでの視聴はこちら
※本講演は終了していますが、過去開催の「夕学講演会」約140本を、オンデマンド視聴可能な「クロシング(夕学アーカイブ)」より全編ご視聴いただけます。
(お申込み後、7日間無料体験いただけます。なお、ご視聴には会員情報登録(クレジットカード登録含む)及び初期設定が必要です。)

主要著書

問い続ける力』筑摩書房(ちくま新書)、2019年
継続とは「小さな問い」を立てること』ダイヤモンド社(Kindle版/DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文)、2018年
仕事力をアップする はじめての「フロー」入門』(共著)、ピースオブケイク(スマート新書)、2018年
どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』(共著)、KADOKAWA、2017年
たす(絵本)』(共著)、白泉社、2017年
みんなの検索が医療を変える:医療クラウドへの招待』(監修)、エヌティティ出版、2017年
仕事はうかつに始めるな ―働く人のための集中力マネジメント講座』プレジデント社、2017年
ノーリバウンド・ダイエット』法研、2017年
「今、ここ」に意識を集中する練習』(監修)、日本実業出版社、2016年
感情を制する者はゲームを制す(対談)』(共著)、ダイヤモンド社(Kindle版/DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文)、2016年
世界中のトップエリートが集う禅の教室』(川上全龍氏著作に協力)、角川書店、2016年
疲れない脳をつくる生活習慣―働く人のためのマインドフルネス講座』プレジデント社、2016年
最後のダイエット』マガジンハウス、2015年
友だちの数で寿命はきまる 人との「つながり」が最高の健康法』マガジンハウス、2014年
健康学習のすすめ(理論編)』日本ヘルスサイエンスセンター、2006年

このページを印刷