夕学五十講

講師紹介

甲野 善紀
こうの よしのり
講演日 2010/11/18 (木)
武術研究者

講師略歴

1949年、東京に生まれる。
幼い頃から野山の自然を好み、育った多摩地方の丘陵が宅地開発されるのを悲しんで、
将来は自然の中での牧畜に従事しようと、東京農業大学畜産科に進むが、畜産及び現代
農業全体が効率最優先の工業化を目指していることに失望して、この道を断念。
それに代わってさまざまな健康法や修行法、さらに思想、宗教等の方面に関心を広げ、
実践的な体験を経た後「人間にとっての自然」を自らの身体感覚を通して探究しようと武
の道に志す。

1971年、合気会本部道場に入会。主として山口清吾師に合気道を学ぶ。1972年、根岸流
4代目前田勇師に師事。1975年鹿島神流を野口弘行師に学んだ後、1978年松聲館道場
を建て、武術稽古研究会を主宰して活動を始める。
その後、振武舘の黒田鉄山師、韓氏意拳の光岡英稔師などと交流して学び、さらに武術・
武道に限らず、さまざまな分野の人々との交流によって多くの教えを受け、また、古伝書を
読み込むなどして、試行錯誤しつつ技と術理を研究。
1999年頃から、その技と術理がスポーツ、楽器演奏などに応用されて、社会的関心が高く
なったことで、より多くの世界と、より自由な対応をするため、また、武術の一研究者として
の立場を明確にするため、2003年武術稽古研究会を解散する。
以後、介護、工学、教育等の分野からも関心が高まり、野口聡一宇宙飛行士からの依頼
で身体の使い方をアドバイスし、現在は東大工学部の國吉康夫教授からの依頼でロボット
研究に協力している。2007年から3年間、神戸女学院大学の客員教授も務めた。

現在、日本各地やヨーロッパで、主に武術に関する講座や講習会を行っている。
さらに、2009年秋から数学者の森田真生氏と『この日の学校』を立ち上げ、各地で受験や
資格を取るためではない学問そのものと向き合う講座を開いている。
また、ニホンミツバチの農業利用を通して、より自然な農業と、生き方を模索する活動を始
めている。



講演内容

「身体から起こす革命」

人が人である以上、日常・非日常を問わず、思考の展開、仕事の段取り、感情の変化と
いった事は、すべて身体と密接に関わりを持っていますが、その事に眼が開かれるよう
な体育の授業は、残念ながら絶無といえる状況です。これは明治以来の、頭での学問
重視の欧化啓蒙主義がその理由の一つだと思いますが、これからの社会の在り様を考
えるために、この講座を通して日本が育んで来た身体の文化を知り、人が人として存在
するという根本的なことに眼が向く新しい体育の重要性に気づかれる方があれば何より
も嬉しく思います。


■夕学スタッフからのおすすめ
この講演にご関心をお持ちの方へ 【視野を拡げる3講演】
 ・10/20(水)上田 泰己 「体内時計が示すもの」
 ・11/1(月)金井 真介 「社会を静かに変えていくプラットフォーム ダイアログ・イン・ザ・ダーク」
 ・11/16(火)多川 俊映 「興福寺1300年 祈りとこころ」


主要著書

表の体育 裏の体育』壮神社、1986年(2004年・PHP文庫)
剣の精神誌』新曜社、1991年(2009年・ちくま学芸文庫)
自分の頭と身体で考える』(養老孟司氏との共著)、PHP研究所、1999年(2002年・PHP文庫)
『武学探求』(光岡英稔氏との共著)、冬弓舎、2005年
身体から革命を起こす』(田中聡氏との共著)、新潮社、2005年(2007年・新潮文庫)
身体を通して時代を読む』(内田樹氏との共著)、バジリコ、2006年(2010年・文春文庫)
武術への招待』(井上雄彦氏との共著)、宝島社(宝島社文庫)、2006年
薄氷の踏み方』(名越康文氏との共著)、PHP研究所、2008年
響きあう脳と身体』(茂木健一郎氏との共著)、バジリコ、2008年(2010年・新潮文庫)
賢い身体 バカな身体』(桜井章一氏との共著)、講談社、2008年


推薦図書

禅という名の日本丸』山田奨治著、弘文堂、2005年
逝きし世の面影』渡辺京二著、平凡社(平凡社ライブラリー)、2005年
ハチはなぜ大量死したのか』ローワン・ジェイコブセン著、文藝春秋、2009年
千代鶴是秀』土田昇著、ワールドフォトプレス、2006年
武術の創造力-技と術理から道具まで』甲野善紀・多田容子(共著)、PHP研究所、2003年
 (2004年・PHP文庫)


推薦サイト

森田真生氏サイト