講師紹介
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講師略歴
1976年、北海道旭川市生まれ、島根県横田町(現奥出雲町)出身。1999年、京都大学総合人間学部卒業。2002年、京都大学人間・環境学研究科中途退学、同年、京都大学人文科学研究所助手(2002.11-2009.5)、東京大学農学生命科学研究科講師(2009.6-2013.3)を経て、現在、京都大学人文科学研究所准教授。「食べるもの」と「食べること」から、歴史学を組み建て直すことを目指している。たとえば、19世紀末に松原岩五郎が活写した東京四ッ谷の残飯屋から、帝国日本の品種改良技術に基づく地域支配、有機農業の歴史、化学肥料の歴史、ナチ期農民の生活誌、農民芸術、農民文学、牛乳の近代日本史やフードコートなどについて、これまで取り組んできた。現在、地球上で飢えている住人は全体の7分の1であると推定されているが、以上のようなさまざまなアングルから、この現実を支える世界の仕組みの歴史的根源を探っている。
主な著書に『ナチス・ドイツの有機農業』(第1回日本ドイツ学会奨励賞)、『カブラの冬』、『稲の大東亜共栄圏』、『ナチスのキッチン』(第1回河合隼雄学芸賞)、『食べること考えること 』、『トラクターの世界史』、『戦争と農業』、『給食の歴史』(第10回辻静雄食文化賞)、『食べるとはどういうことか』、『分解の哲学』(第41回 サントリー学芸賞)、『縁食論』、『農の原理の史的研究』がある。2019年2月には、第15回日本学術振興会賞受賞。
藤原辰史の研究室
講演内容
「生産から分解へ ~土壇場の地球思想を求めて~」
私たちは、あらゆることを「生産」ととらえ続けてきた。仕事の達成も、芸術作品の数も、子どもの数でさえ「生産」という言葉で説明され、国の経済力も「国民総生産GDP」という非常にせまい指標でしかあらわされていない。しかし、生産されたものをどう分解し、地球に戻すのかについては、ずっと議論から省かれてきている。フードロスやプラスチックゴミを始め、ゴミの問題はその際たるものだ。この講義では、「分解的世界」をめぐる歴史や人文学の文献を読みながら、生産ではなく分解を軸にした社会のあり方について考えてみたい。「クロシングでの視聴はこちら」
※本講演は終了していますが、過去開催の「夕学講演会」約140本を、オンデマンド視聴可能な「クロシング(夕学アーカイブ)」より全編ご視聴いただけます。
(お申込み後、7日間無料体験いただけます。なお、ご視聴には会員情報登録(クレジットカード登録含む)及び初期設定が必要です。)
主要著書
『ナチス・ドイツの有機農業 「自然との共生」が生んだ民族の絶滅』柏書房、2005年、※第1回日本ドイツ学会奨励賞; 新装版、2012年『食の共同体 動員と連帯』ナカニシヤ出版、2008年
『カブラの冬 第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆』人文書院、2011年
『稲の大東亜共栄圏 帝国日本の<緑の革命> 』吉川弘文館、2012年
『現代の起点 第一次世界大戦』全4巻、(共編著)、岩波書店、2014年
『食べること考えること』共和国、2014年
『第一次世界大戦を考える』 (編著)、共和国、2016年
『ナチスのキッチン 「食べること」の環境史』共和国、2016年、※第1回河合隼雄学芸賞
『トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』中央公論新社(中公新書)、2017年
『戦争と農業』集英社(集英社インターナショナル新書)、2017年
『給食の歴史』岩波書店、2018年(第10回辻静雄食文化賞)
『食べるとはどういうことか 世界の見方が変わる三つの質問』農山漁村文化協会、2019年
『われわれはどんな「世界」を生きているのか 来るべき人文学のために』 (共編著)、ナカニシヤ出版、2019年
『農学と戦争』(共著)、岩波書店 2019年
『分解の哲学:腐敗と発酵をめぐる思考』青土社、2019年、※第41回サントリー学芸賞受賞
『歴史書の愉悦』(編著)、ナカニシヤ出版、 2019年
『縁食論 孤食と共食のあいだ』ミシマ社、2020年
『農の原理の史的研究「農学栄えて農業亡ぶ」再考』創元社、2021年
『言葉をもみほぐす』(共著)、岩波書店、 2021年
『ポストコロナの生命哲学』(共著)、集英社(集英社新書)、2021年
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